その圧倒的なリアリティ‐は、CNN が「『ハウス・オブ・カード 野望の階段』のどこまでがフィクションで、どこからが現実かという特集を大真面目に組むほど。 それは個別の出来事だけでなく、法案を通すためのドロドロした駆け引きから、米国家安全保障局(NSA)の情報収集プロセスまで、いわば政治の裏側が克明に描かれているからだ。
国際政治の専門家でさえ「ああ、こういうことだったのか!」と、アメリカ政治の解説を見ている気がしてくるらしい。 その印象はあながち的外れではないようだ。ビル・クリントン元大統領は、「『ハウス・オブ・カード 野望の階段』の描写は 99%正確だ」とお墨付きを与えている。 ちなみに実際のアメリカ大統領選挙にて先日、民主指名争いで勝利宣言をした妻のヒラリーもこのドラマのファンで「ビルと 2 人で(13 話を)イッキ見した」と公言している。
次期アメリカ大統領にふさわしい資質の持ち主は誰だと思いますか―。ある航空会社がそんなアンケートを実施したのは4月末のこと。結果は、1位がヒラリー・クリントン、2位はフランク・アンダーウッド、3位はバーニー・サンダース、そして4位がドナルド・トランプ。ふむふむ、妥当な結果だな。でも、アンダーウッドって誰?そんな候補者いたっけ?実は、フランク・アンダーウッドは、アメリカの大人気ドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』の主人公。強烈な権力欲 を持つベテラン下院議員で、ある屈辱的な経験をきっかけに、陰謀をめぐらせて民主党の院内幹事から副大統領、さらには大統領へとのし上がる。そのフランクが、第4シーズンでは2016年大統領選に挑む。
2013年の放送開始以来、『ハウス・オブ・カード 野望の階段』はスリルあふれる展開と、豪華な製作陣(監督はデヴィッド・フィンチャー、主演はケヴィン・スペイシー)、そして1シーズン13話を一挙公開するという画期的なフォーマットで大きな話題を呼んできた。
だが、このドラマの最大の魅力は、アメリカの政界を怖いくらいリアルに描いていることだろう。なにしろドラマで起きる出来事が、恐ろしく現実とシンクロしている。第4シーズンでも、サウスカロライナ州の南軍旗問題から、ロシアと中国が絡むエネルギー危機、シリアおけるイスラム過激派の台頭など、現実の世界と交錯する事件が次々と発生する。アメリカ政治を少しでも知る視聴者には、思わずニヤリするエピソードの連続なのだ。